共同研究

COLLABORATIVE
共同研究

ファインバブルは、洗浄や水質浄化殺菌、生理活性成長促進といった特性から農芸分野、水産・漁業分野、食品製造分野、医療薬品分野など多くの分野で技術を活用した研究が進んでいます。

独自の技術をもつ当社もまた、水とファインバブルの可能性について、主に大学と連携しながら研究と開発を進めています。人間はもちろん、動植物を含め、すべての生物に安心・安全な暮らしを提供するために。これからも、さまざまな研究機関や企業と力をあわせて、ファインバブルの活用・製品化に注力します。

水産

FISHERIES

P2G廃酸素の活用を想定した酸素曝気と
UFBによるウニ蓄養実験

小型水槽での試験の結果、水中の酸素が最も多かったものは「酸素ブロア区」であったにも関わらず、
μ-Jet機構で産生した「酸素UFB区」の水槽で畜養したウニが最も生残率が高く、実入りが多くなることがわかりました。
これにより、ウニの畜養では水中の酸素濃度よりも、酸素UFBの作用が有効である可能性が示唆されたものとなります。

学会発表
  • 本田陽一、濱隆博、吉田恭平、松尾智征、山下貴敏、三島良介、土屋光太郎
    『P2G廃酸素の活用を想定した酸素曝気とウルトラファインバブル(UFB)によるウニ蓄養実験』(2024年度 日本水産工学会 学術講演会/2024年/東京)https://sites.google.com/view/2024jsfe
本研究について
研究開発の社会的背景

~水素社会で発生する廃酸素~
近年、自然エネルギー利用の必要性の高まりから、海に吹く風を利用して発電を行う風力発電の事業開発・計画が多数なされつつあります。しかし、風力発電は気象条件により発電量のばらつきが大きく、安定的にエネルギー供給するには蓄電が必要だと言われています。蓄電技術の一つとして水電解による水素製造(P2G技術)も進展しています。余剰電力を水素に変換し、必要な際に電気に改めて変換することができるのです。水素は水から生まれて水に還る「CO2フリーの再生可能エネルギー」として最も注目されているエネルギーです。今後、電気分解による水素の製造が増えると、その副産物として生成される酸素が大量に廃棄される可能性もあります。

~生物多様性を脅かす海の課題「磯焼け」失われていく藻場~

近年、世界中で沿岸漁場から海藻類が無くなる「磯焼け」という環境被害が深刻化しています。様々な要因がありますが、そのなかでも食害(生物が過剰に海藻などを食べることで起こる被害)は大きな原因の一つとなっています。地球温暖化により、海水温が1年中高くなることで、本来の活動時期ではない冬でもアイゴやブダイ、ムラサキウニなど、海藻を食べる生き物の食欲が旺盛となり藻場を食べ尽くしてしまいます。

磯焼け地帯のムラサキウニは、実入りが少なく「やせウニ」とも呼ばれます。人間が食べられる部分が少ない為、商業的価値が低く漁獲対象になりにくい存在です。そこで、磯焼け地帯のやせウニを捕獲して短期間の養殖(畜養)により、商品価値を与える研究が進められています。

今後の展望

引き続き、メカニズム解明と共同研究を深め、今回の効果が発現したメカニズムの解明を目指します。再現性を得られる事例を積み重ね、水素社会での廃酸素活用について、新たな市場の創出に向けた地ならしを図りたい考えです。本研究成果をエビデンスとして、ファインバブルを活用し生物多様性への取り組みも行っていきます。

水資源

WATER RESOURCES

硬水は噴霧化によって
軟化できることを発見

硬水の噴霧化処理により、ファインバブルの発生とともに硬水中のカルシウムイオン(Ca2+)濃度と電気伝導度が減少し、
硬水を容易に適度な硬度に軟化することができるため、高い汎用性を持つと考えられます。(岐阜大学 教育学部 久保和弘)

学会発表
  • 久保和弘、春見真柚、山下貴敏 『新しい硬水軟化法の開発』(日本家政学会 第22回家政学関連院生・学生研究発表会/2022年/愛知)
掲載
  • Food Science and Technology Research誌オンライン版で早期公開
    本研究の成果は、2023年7月27日に食品科学工学の国際誌である
    Food Science and Technology Research誌オンライン版にて早期公開されました。
    本公開は、Vol.29, No.6、2023年11月20日の予定です。オンライン版
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/advpub/0/advpub_FSTR-D-23-00059/_article
受賞
  • 日本家政学会 第22回家政学関連院生・学生研究発表会 2021年度中部支部賞受賞
    学会発表 久保和弘、春見真柚、山下貴敏 『新しい硬水軟化法の開発』
    (日本家政学会 第22回家政学関連院生・学生研究発表会/2022年/愛知)


研究開発の社会的背景

硬水の地域は世界中に存在します。特にヨーロッパ、北アメリカ、そしてアジアに多く、このような地域ではしばしば「硬水を軟化する処理」が行われています。既存の硬水の軟化技術では、大規模な装置や専門的な保守、高濃度の排水が大量に排出されるといった課題がありました。本研究では、この課題をクリアした方法で硬水の軟化が可能となります。日常生活における硬水使用には、以下の課題がありました。

  • 発がんリスク
    日常生活における硬水の影響のひとつとして、1日2g以上のカルシウム摂取による転移前立腺がんの発症リスクは、0.5gと比較して、ほぼ5倍に上昇することが報告されています。
  • 石鹸の消費量の増加
    硬水が過熱されると、炭酸カルシウム(CaCO₃)の沈殿物が生じ、硬度が1ℓあたり200mgを超える場合には、石鹸の泡立ちが悪くなり消費量が増えます。
    その一方で、炭酸カルシウム(CaCO₃)が1ℓあたり100mg未満の場合においては、緩衝能力(中和する能力)が低いため、配管の腐食が起こりやすくなります。この場面では硬水は軟水よりも腐食しにくいため、硬水であることがすべての場面でリスクではありません。
今後の展望

引き続き、メカニズム解明と共同研究を深め、すべての患者の方が恩恵を受けられるとともに、人々の生活クオリティ向上に向け技術開発に努めます。

農芸

AGRICULTURE

植物の連作障害を軽減するUFB水の効果

トマトによる連作障害土壌ではトマトの発芽・生育が抑制されたが、μ-Jet機構を用いたUFB水はその障害を緩和することが示唆されました。また、青枯病菌(土壌障害の原因となる細菌)の増殖がμ-Jet機構を用いたUFB水で直接抑制されることもわかりました。(東京農工大学大学院農学研究院 客員教授 横山峰幸)
さらに当社の技術を利用したUFB水が障害土壌における植物の成長の回復、青枯病菌の増殖を部分的に抑制(invitro)されることが示唆されました。

μ-Jet機構:高速旋回液流とキャビテーションによる独自の発生方式

学会発表
  • 横山峰幸、山下貴敏、田中和広、瀬尾茂美、阿部貞夫、土屋好司、酒井秀樹、朽津和幸『植物の連作障害を軽減する ウルトラファインバブル水の効果』(日本農芸化学会/2018年/愛知)
  • 横山峰幸、山下貴敏、田中和広、瀬尾茂美、阿部貞夫、土屋好司、酒井秀樹、朽津和幸『植物の連作障害を軽減する ウルトラファインバブル水の効果』(第7回日本マイクロ・ナノバブル学会/2018年/東京)
掲載
  • 日本農芸化学会の英文誌Bioscience, Biotechnology, and Biochemistryに”Ultrafine bubble water mitigates plant growth in damaged soil “のタイトルで論文掲載されました。
    “Ultrafine bubble water mitigates plant growth in damaged soil “
    Mineyuki Yokoyama, Takatoshi Yamashita, Rumi Kaida, Shigemi Seo, Kazuhiro Tanaka, Sadao Abe, Masataka Nakano, Yoshiharu Fujii, Kazuyuki Kuchitsu
    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Volume 85, Issue 12, December 2021, Pages 2466–2475, https://doi.org/10.1093/bbb/zbab169


ABSTRACT

Water containing ultrafine/nano bubbles (UFBs) promoted the growth of tomato (Solanum lycopersicum) in soil damaged by cultivation of tomato in the previous year or bacterial wilt-like disease and also promoted the growth of lettuce (Lactuca sativa) when lettuce was grown in the soil damaged by repeated cultivation of lettuce. On the other hand, UFB supply did not affect plant growth in rock wool or healthy soil. Furthermore, the growth of lettuce was not affected by UFB water treatment in the soil damaged by the cultivation of tomato. UFB water partly suppressed the growth of the pathogen of bacteria wilt disease, Ralstonia solanacearum in vitro. These data suggest that UFB water is effective to recover the plant growth from soil damage.

特許
  • 特許第7327922号 土壌障害の予防又は改善剤 (横山峰幸、山下貴敏、田中和広、阿部貞夫)

研究開発の社会的背景

農作物は米以外、同じ圃場で同じ作物を栽培し続けると生育不良や収量が落ちる障害がおこりやすくなります。それを連作障害といい、生育不良や収量減少などの発生により、生産農家さんには大きな痛手となります。連作障害にはさまざまな原因があるとされていますが、輪作や土壌消毒、入れ替えといった対策方法は、大きな負担となっています。

今後の展望

日本は、連作障害以外にも抱える問題(農家の高齢化、人手不足の増加)は多くあります。より負担の少ない農業となるように、土壌環境の改善をはじめ生産性向上につながる技術開発に努めます。

医療

MEDICAL CARE

2型糖尿病に対するUFB水の改善効果

μ-Jet機構で産生するUFB水の摂取は、2型糖尿病モデル動物の耐糖能悪化を遅延させる
可能性が示唆されました。(岐阜大学教育学部 教授 久保和弘)

μ-Jet機構:高速旋回液流とキャビテーションによる独自の発生方式

学会発表
  • 久保和弘、山下貴敏「2型糖尿病に対するウルトラファインバブル水の予防効果」(第71回日本栄養・食糧学会/2017年/沖縄)
  • Kazuhiro Kubo,Takatoshi Yamashita「Ultra Fine Bubble Water Prevents Impaired Glucose Tolerance or Type 2 Diabetes Mellitus」(The 19th Biennial International ARAHE Congress 2017,MPF29/2017年/東京)
  • 久保和弘、山下貴敏「ウルトラファインバブル水は高脂肪食誘発性肥満マウスのインスリン感受性を改善する」(第72回日本栄養・食糧学会/2018年/岡山)
  • 学会発表 久保和弘、中瀬亮、山下貴敏 『ファインバブル水の糖尿病改善効果と作用機序に関する研究』(日本家政学会 第64回大会/2019年/岐阜)
特許
  • 特許第7149053号 糖尿病予防又は改善用液状物(久保和弘、山下貴敏、田中和広)
受賞
  • 日本家政学会 第64回大会 2019年度中部支部賞受賞
    学会発表 久保和弘、中瀬亮、山下貴敏 『ファインバブル水の糖尿病改善効果と作用機序に関する研究』(日本家政学会 第64回大会/2019年/岐阜) 

研究開発の社会的背景

世界の糖尿病有病者数は5億3700万人。(国際糖尿病連合、2021年)。日本の糖尿病有病者数は「糖尿病が強く疑われる者」約1,000万人と「糖尿病の可能性を否定できない者」約1,000万人を合わせ約2,000万人と推計されています(平成28年「国民健康・栄養調査結果の概要」、厚生労働省)。
日本の成人の糖尿病患者の95%以上は2型糖尿病です。その2型糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題とされています。近年、食物繊維の摂取不足や清涼飲料水に含まれる多量の砂糖により、高血糖(グルコーススパイク)が起こりやすい環境にあります。
食後の高血糖(グルコーススパイク)は、大きいほど糖尿病やそれに合併する血管疾患の悪化因子となります。
またインスリンの分泌を多く引き起こし、内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性、さらにはインスリン分泌能の低下を起こして血糖コントロール不全の原因となることも知られると同時に、合併症の進展にも大きく関与します。そのため食後の高血糖(グルコーススパイク)を抑制することは糖尿病や血管疾患の予防に役立つと考えられているのです。

今後の展望

引き続き、メカニズム解明と共同研究を深め、すべての患者の方が恩恵を受けられるとともに、人々の生活クオリティ向上に向け技術開発に努めます。 

食品

FOOD

UFB水が及ぼす食材への吸水速度の影響

μ-Jet機構で産生するUFB水は、特定食材に対する吸水速度の速さが示唆されたことにより、
特定食材の製造工程において浸漬時間の短縮、単位時間当たりの製造量の増加(効率化)が期待できます。
(岐阜大学 教育学部 助教 柴田奈緒美)

μ-Jet機構:高速旋回液流とキャビテーションによる独自の発生方式

学会発表
  • 柴田奈緒美、太田桃樺、山下貴敏、田中和広『ファインバブル水が及ぼす食材への吸水速度』
    (第18回日本食品工学会/2017年/大阪)
研究開発の社会的背景

高齢化先進国である日本が抱える課題の一つに、療養病床の入院患者や特別養護老人ホーム・老人保健施設の入所者の摂食・嚥下障がいへの対応があります。摂食・嚥下とは、口に入れた食べ物を歯や舌で咀嚼し、飲み込みやすい塊(食塊)を形成した後、舌の運動によって咽頭へ送り込むことです。その際、何らかの問題が発生する状態を摂食・嚥下機能障がいといいます。摂食・嚥下機能障がいは、当事者である患者さんや高齢者に大きな苦痛をもたらすばかりでなく、病院の効率的な医療活動や経営を阻害する深刻な要因になっています。
これらの問題の防止・改善を図る有効な手段として、最近関係者の強い関心を集めているのが、科学的な基準にもとづく適切な嚥下食の提供です。

(参照:嚥下食の基礎知識|6.「嚥下食ピラミッド」の概要|嚥下食ドットコム (https://www.engesyoku.com/kiso/kiso06.html) 参照日時:2023年8月30日)

調理分野において、食材の浸漬時間の短縮、吸水速度効果による食品の軟化が可能となれば、効果的な嚥下食の提供につながります。

今後の展望

特定食材に対し吸水速度が速くなることが示唆されたため、食材加工工程における浸漬時間の短縮、単位時間当たりの 製造量の増加が期待されます。 さらに、示唆された内容から高齢者に対する咀嚼・嚥下食品の開発も期待されるため、ご提供できる技術開発に努めます。

COLUMN

共同研究

宇宙開発の分野でも期待される
ファインバブル

宇宙航空研究開発機構「JAXA」では、宇宙での殺菌利用に向けたファインバブルの特性について研究が行われました。その一環として、当社は特許技術「μ-Jet機構(ミュージェット)」をJAXAに提供しました。
この事例以外でも、地球上にとどまらず、宇宙空間でもファインバブルの利活用の研究が進められており、今後さらなる成果が期待されています。

μ-Jet機構:高速旋回液流とキャビテーションによる独自の発生方式

TKSラボ紹介

TKS LABO

共同研究

2023年4月、当社はファインバブルと水の可能性を研究・開発する拠点として、「TKSラボ」を設立しました。場所はTKS創業の地、岐阜県山県市(旧:美山町)。「水栓バルブ発祥の地」と呼ばれた、縁とゆかりのあるこの地から、開発の生産性向上を目指して決意を新たにスタートしました。

主な取り組み

共同研究
製品開発
共同研究
測定試験
共同研究
試作品作成
共同研究
製品評価
共同研究
物性検討

所在地

TKSラボ

〒501-2258 
岐阜県山県市中洞50番1

秘密保持の関係上、ラボの見学については基本的にお受けしていません。

研究開発のご相談は、当サイトのお問い合わせページより受け付けております。